ストックレー邸(Le palais Stoclet)は、ウィーンの建築家ヨーゼフ・ホフマン(1870~1956年)によって、1905~1911年に作られたモダニズム建築の傑作です。
ブリュッセルのテルヴュラン通り279/281番地(le 279/281 avenue de Tervueren)にある邸宅で、2009年6月の世界遺産委員会で、ユネスコの世界遺産リストに登録されました。
アールデコの先駆けとなったストックレー邸の解説・紹介
ストックレー邸は、1903年~1904年ごろにベルギーの金融業者アドルフ・ストックレー(Adolphe Stoclet)の私邸とするために、オーストリアの建築家ヨーゼフ・ホフマンによって考案されました。実際の建築は1905年から1911年にかけて行われました。
20世紀初頭のヨーロッパは、アールヌーボー興隆期で、ベルギーの首都ブリュッセルは、アールヌーボー建築の宝庫として有名です。
そうした曲線を多用する装飾的なアールヌーボーが溢れる中、ストックレー邸は直線的な造形デザインの革新的なもの。1920年頃から流行したアールデコの先駆けとなりました。
外観は大理石張りの外壁で、隅が青銅で縁どりされており,幾何学的明快さを備えています。
邸宅は、内装・外装、家具・日用品、庭園などを不可分のものと捉える総合芸術 (Gesamtkunstwerk) を体現しており、照明や子供の玩具、扉の取手や植木鉢に至るまで考え抜かれたデザインが行われました。
内装はグスタフ・クリムトとフェルナン・クノップフが手がけています。特に食堂に描かれたグスタフ・クリムトの素描に基づいたモザイク画は非常に有名です。
1976年に史跡となったこの邸宅は、アドルフ・ストックレーの義理の娘アニー・ストックレー(Anny Stoclet)が亡くなる2002年まで住んでいました。
現在、内部の一般公開はされていませんが、外観のみでも見る価値はある建物です。
- 名称 / 英語名
- ストックレー邸 / Stoclet House
- 種別
- 文化遺産
- 登録基準
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(1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
登録基準とは - 登録年
- 2009年
- 公式サイト
- ユネスコ / UNESCO 公式サイト内の Le palais Stoclet ページ