ボヤナ教会(Boyana Church)は、ブルガリアの首都ソフィアの南西郊外、ヴィトシャ山麓ィトシャ山麓に建つブルガリア正教会の教会堂です。ソフィアの中心部からは約8kmほどの距離にあります。
ボヤナ教会は、時代が異なる3つの聖堂が調和する教会です。そして、中央棟の内部一面には、フレスコ壁画がぎっしりと描かれていることで知られています。
1979年に世界遺産に登録されています。
ボヤナ教会の解説・紹介
ボヤナ教会の東翼は、元々10世紀後半ないし11世紀初頭に貴族が私的な礼拝所として建てたものです。
1259年には、第二次ブルガリア帝国の元で、中央棟が増築されました。
その後、時代が下ってオスマン帝国支配の末期の1845年に西翼が拡張され、3つめの聖堂が左側に増築されました。
ボヤナ教会は。11世紀、13世紀、19世紀と、3つの異なる時期に建設された聖堂からなります。それぞれの時代の姿をとどめながら、時間を超越して美しい調和を保っています。
ボヤナ教会の聖パンティレイモン聖堂の内部一面に描かれたフレスコ壁画
ボヤナ教会で特に注目すべき特徴は、中央棟の内部に描かれたフレスコ壁画です。
1259年に中央棟を増築した貴族のカロヤン伯爵は、中央棟の聖パンティレイモン聖堂の内部一面にフレスコ壁画をぎっしりと描かせました。
キリスト、そして教会の守護聖者の一人である聖ニコラの生涯の18の場面、あるいは聖イヅァン・リルスキーの最占の肖像など、聖人たちが、それぞれ異なった個性を持って描かれています。
内面や生命力を伴って、実に写実的に生き生きと描かれているのです。
これら総数240枚にも及ぶフレスコ壁画は、当時のブルガリア中世美術の高水準を物語っています。
壁画の中には、カロヤン夫妻の肖像画もあります。髪を冠で隠す着こなしや服の紋様など、夫妻が当時のヨーロッパの最新モードを身につけていることが分かります。
この肖像画は、歴史人物の肖像画でブルガリア最古のものとされおり、当時の文化風習が分かる貴重な資料となっています。
これらのフレスコ壁画は、当時の無名のフレスコ画家たちの手によるものですが、後に大きな影響を与えることになりました。
当時、主流だった表情に乏しいビザンツ様式を大胆に打ち破り、イタリアでルネサンスの勃興する以前に、生き生きとした自由な息吹を、東ヨーロッパの片隅で先取りしていたのです。
しかし世界的に有名になる上で重要な役割を果たしたのは1259年前後に活躍した無名の画家たちでした。
教会のお土産店では、絵葉書、本、CD、DVD、お土産、ボヤナ教会などの名所を紹介したパンフレットが販売されています。なお、教会内での撮影は禁止です。
- 名称 / 英語名
- ボヤナ教会 / Boyana Church
- 種別
- 文化遺産
- 登録基準
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(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
登録基準とは - 登録年
- 1979年
- 公式サイト
- ユネスコ / UNESCO 公式サイト内の Boyana Church ページ