ベルギー南部のフランス語圏ワロン地方には、良質な石炭鉱があり、19世紀から20世紀初頭にかけて盛んに石炭が採掘されました。
2012年に、ヨーロッパ大陸での産業革命を象徴する最古の例の一つとして世界遺産に登録されました。
というのも、採掘された石炭は、イギリスに次いで産業革命を達成する原動力となり、その後の鉄鋼産業の発展とともに、欧州の近代社会や経済が形成される上で重要な役割を果たしましたのです。
現在の欧州連合、EUの基礎となったのは、実は欧州石炭鉄鋼共同体(1950年)ということからも、その重要性が分かります。
ワロン地方の主要鉱山遺跡群の解説・紹介
ワロンには数百の炭鉱がありますが、2012年に世界遺産に登録されたのは、保存状態が良く、歴史的価値のある4つの炭鉱跡です。
ベルギー南部ワロン地方を西から東に横断する、東西170キロメートル、幅3~15キロメートルの細長いエリアに位置しています。
- グラン・オルニュ
- カジエの森
- ボワ・デュ・ルック
- ブレニー・ミーヌ
当時、最先端のデザインを持つ、居住性の高い社宅を用意して、労働者を確保しようとしました。
これらの炭鉱跡は、地上と地下の両方の炭鉱産業に関する多くの技術的な遺構を含んでおり、炭鉱関連の産業建築、労働者寮など炭鉱の町における都市計画の有様を伝えています。
炭鉱跡の内部はよく保存されており、見学することができます。
中でもエノー州のモンス市郊外に位置するグラン・オルニュは、1810年に建られた大規模な炭坑複合施設です。当時の流行だったネオクラシック様式の流麗な建築物--炭鉱、附属工場、労働者と経営者の住宅約440戸、公園、学校、アーケードなどからなり、“ひとつの都市”を形づくっていました。現代美術館のMAC’sを併設しています。
1838年から1909年に建てられた建築物、ボワ・デュ・ルックはヨーロッパでも非常に古い炭鉱で、その歴史は17世紀まで遡ることができます。
また、シャルロワ近郊の「カジエの森」のパヴィリオンには、現在はフランス料理レストランも併設されています。
これらの炭鉱跡は、産業と日常の暮らしが一体化した理想的な産業都市を具現しようとしたユートピア的な趣を持っています。

MAC’s – Musée des Arts Contemporains, Site du Grand-Hornu / ines s.

Grand Hornu mine complex / LHOON

Belgique 2011 002 / stephane333
- 名称 / 英語名
- ワロン地方の主要鉱山遺跡群 / Major Mining Sites of Wallonia
- 種別
- 文化遺産
- 登録基準
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(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
登録基準とは - 登録年
- 2012年
- 公式サイト
- ユネスコ / UNESCO 公式サイト内の Major Mining Sites of Wallonia ページ