ザモシチ旧市街 / Old City of Zamość

ザモシチ旧市街の解説・紹介

ポーランド南東部のルブリン県にある都市、ザモシチ（Zamość）は、ワルシャワからバスで約5時間ほどの距離にあります。

ザモシチは五角形を形作る城壁に囲まれた小さな町ですが、実は東欧で最初のイタリア・ルネサンス様式の町です。

その美しさは、「ルネサンスの真珠」と称されるほどで、1992年にユネスコの世界遺産に登録されています。

ザモシチが非常にユニークな点は、16世紀後半にポーランド・リトアニア共和国を構成するポーランド王国の宰相兼陸軍の最高司令官でもあったヤン・ザモイスキという大貴族が「理想都市」を実現しようと、文字通り一から建設した点にあります。

「ザモシチ」という都市名も、ヤン・ザモイスキという名に由来しています。

学生時代にイタリアに留学したヤン・ザモイスキは、ルネサンス美術に非常に感銘を受けて、祖国ポーランドにも、後期ルネサンスの理想都市を建設する夢を持ちます。

そこで、イタリア人建築家のベルナルド・モランドに設計を依頼し、宮殿や聖堂参事会教会、市庁舎から広場に建ち並ぶ石造の集合住宅まで、全てを任せました。

1580年にスタートしたザモシチ市の建設は1600年に、20年の歳月をかけて完成しました。

ルネサンス理想都市とは、都市機能を人体のそれに対応させ、理想的な美とされる比に基づいて創られた都市のことです。

モランドにある旧市街西側のザモイスキ広場は頭に相当し、グロツカ通りは背骨、南北方向に伸びるソルナ通りやモランド通りは肩。

ソルヌィ広場やヴォドヌィ広場は都市機能を果たす内臓に相当します。

旧市街の東側は商業エリアです。西側は高等教育機関が設立された文教エリアで、文化の香りが漂う街となっています。

こうして世界的に見ても類を見ない都市計画に基づいて造られた美しい街並み・建築群が、今もそのままの姿で残されています。

Zamość / Dziunka (an amatour photographer)

Stare Miasto w Zamościu / Old City of Zamość / PolandMFA