シントラの文化的景観の解説・紹介
シントラ (Sintra) は、ポルトガルの首都リスボンの北西に位置しており、大西洋が望める山間の町です。もともと代々ポルトガルの王家に愛された避暑地でした。
古くはかつてムーア人が築いた城跡、そしてポルトガル王室の夏の離宮など、様々な年代の文化財が集積しています。
シントラの緑溢れる自然と人工の建造物が調和した景観は、ヨーロッパ各地の景観設計に多大な影響を与えてきました。かつて詩人のバイロンは「この世のエデン」と、シントラの町の美しさを称えています。
シントラの町並みは、14世紀にエンリケ航海王子の父ジョアン1世が夏の離宮としての基礎を築いたシントラ宮殿を中心に広がり、キンタと呼ばれる豪奢な屋敷も点在しています。
シントラ宮殿は、厨房の上に突き出した2本の円錐状の煙突が特徴的です。
16世紀に入ると、シントラ宮殿はポルトガルの黄金期の王マヌエル1世によって絢爛豪華な室内装飾が施されて改築され、ポルトガルの栄華をいまに残す王宮となりました。
マヌエル1世が増築を行った箇所は、マヌエル様式の特徴が認められ、その後も増改築が繰り返されたため、イスラム、ゴシック、ルネッサンスそしてマヌエル様式など様々なスタイルが混在しています。
ちなみに、マヌエル1世は王宮で幾つもの重大決定を行っています。ヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路の開拓もその一つ。
大航海時代が過ぎ去り、ポルトガル王家の輝きも失われた19世紀には、ドイツの王族から女王マリア2世のもとに婿入りした国王フェルナンド2世が新たなペナ宮殿が建てられています。
国王フェルナンド2世は持参した莫大な資金を使い、岩山の上におとぎ話に出てくるような宮殿を作ることに生涯を捧げました。森のの中に、外壁の青、赤茶、パステルイエローなどの色が映える様は、まるでテーマパークの城のようです。
標高529メートルの山頂からは、天候に恵まれれば大西洋やリスボン市街そしてシントラの町並みの大パノラマを望むことができます。
- 名称 / 英語名
- シントラの文化的景観 / Cultural Landscape of Sintra
- 種別
- 文化遺産
- 登録基準
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(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
(5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
登録基準とは - 登録年
- 1995年
- 公式オフィシャル・サイト
- ユネスコ / UNESCO 公式サイト内の Cultural Landscape of Sintra ページ

Sala dos Brasões – Palácio Nacional de Sintra / Morgaine

Sintra / F H Mira

Castelo dos Mouros (UNESCO) / Tolaakini

Sintras – 112 / Kyle Taylor, Dream It. Do It.

Trams de Sintra (Portugal) / Trams aux fils.