トマールのキリスト教修道院の解説・紹介
トマールのキリスト教修道院(ポルトガル語:Convento de Cristo em Tomar)は、ポルトガルの首都リスボン北東の都市、トマールに位置しています。
トマールの町の丘の上にテンプル騎士団によって1160年から建設が始まり、12世紀の後半には、ポルトガルにおけるテンプル騎士団の本部の役割を果たしています。
城壁と地下室を兼ね備えていた建設された城塞は、ポルトガル最古のものとなっています。
テンプル騎士団によって12世紀に建設された円堂(ポルトガル語:Rotunda)は、外側から見ると16角形で、鐘楼を備えています。円堂の内部は8角形の構造で、エルサレムのオマール・モスクや聖墳墓教会をモデルとしたロマネスク建築です。
1312年に全ヨーロッパでテンプル騎士団の活動が禁止されると、ポルトガルで活動していたテンプル騎士団のメンバーは、新たにキリスト騎士団を結成。1357年に、トマールに移ったキリスト騎士団がここを本拠地としています。
もともとトマールの修道院及び城塞は、勃興したばかりのポルトガル王国の対ムーア人への防波堤の役割を果たしていましたが、その後も、増改築を重ね、様々な様式が入り混じり、約400年後に完成しています。 トマールのキリスト教修道院がハイライトの時期を迎えたのはは、1417年から1460年にキリスト騎士団の団長を務めたエンリケ航海王子の時代です。
大航海時代にポルトガルは異国の文明と出会い、莫大な財を得るようになり、多くの芸術家がポルトガルにあ祭り、新しい芸術様式を築きました。この独創的な様式は、後に国王マヌエル1世にちなんで、「マヌエル様式」と呼ばれるようになりました。
エンリケは、レコンキスタが終了したポルトガルを大航海時代に飛躍させた立役者ですが、ゴシック様式の墓の回廊・沐浴の回廊を増築しています。
1484年にキリスト騎士団の団長に就任し、1492年に国王になったマヌエル1世も修道院の増築を行い、円堂へいたる新しい回廊を建設するとともに、修道院内部の装飾や絵画を増設しました。
マヌエル1世の後を継いだジョアン3世は、1557年に新しい回廊の建設に着手。修道院に幾つかある回廊の中で、このジョアン3世の回廊はとりわけ美しい装飾が施され、ポルトガルにおけるルネサンス建築の中でも傑作となりました。
また、16世紀に造られたキリスト騎士団聖堂の集会室は、マストやロープ、鎖といった大航海時代をモチーフとした美しい装飾を持ち、マヌエル様式の窓に特徴を持っています。
トマールのキリスト教修道院は、リスボンのサンタ・アポローニア駅からは列車で2時間。トマールの駅から小さな坂道を15分程登った所にあります。
- 名称 / 英語名
- トマールのキリスト教修道院 / Convent of Christ in Tomar
- 種別
- 文化遺産
- 登録基準
-
(1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
(6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と、直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。
登録基準とは - 登録年
- 1983年
- 公式オフィシャル・サイト
- ユネスコ / UNESCO 公式サイト内の Convent of Christ in Tomar ページ

Convento de Cristo in Tomar / mi)

Renaissance Cloister of John III / Dunleavy Family

Convento de Cristo, Tomar / ines saraiva

Convento de Cristo, Tomar / ines saraiva

Convento de Cristo, Tomar / ines saraiva

Convento de Cristo, Tomar, Portugal / Biblioteca de Arte-Fundação Calouste Gulbenkian