アルト・ドウロ・ワイン生産地域の解説・紹介
アルト・ドウロ・ワイン生産地域は、ポルトガル北部のドウロ川上流に位置しています。
標高約1,000mの渓谷であるアルト・ドウロの土地は痩せていますが、夏は暑く、冬は寒く地域。日照量は多く、雨量が少なく、寒暖差も激しいという気候です。
こうしたドウロ渓谷の気候条件はワインに最適のため、その自然環境うまく生かして、ぶどうの段々畑が形作られてきました。ローマ時代には既に一大ワイン生産地だったそうです。
アルト・ドウロ地方の段々畑を支える石壁の総延長は、実に数万kmに及ぶそうです。ここで産出されるワインは、ポート・ワインとして世界的に有名です。
こうしたぶどう栽培とドウロ・ワイン醸造の歴史と伝統が、普遍的価値のある美しい文化的景観を生み出したことなどが評価され、世界遺産に登録されています。
アルト・ドウロ生まれのポートワインに見る歴史の流れ
歴史を紐解くと、紀元前12世紀以降、地中海貿易を支配していたフェニキア人が地中海各地に植民都市を建設。ポルトもその一つで、この時代にワインがイベリア半島に伝えられました。
その後、イベリア半島は5世紀にはゲルマン人(西ゴート王国)、8世紀にはイスラム教徒(ウマイヤ朝)に奪われたため、アルコールであるワインの生産は中断しました。
11世紀になると、カスティリャ王国などのキリスト教国が独立して国土を奪還。1139年にポルトゥス・カレ伯がカスティリャ王国から独立を宣言し、ポルトゥス・カレの国=ポルトガルが誕生します。
ポルトガルはアルト・ドウロを開放してワインの生産が再開されました。
その後、大航海時代には酒精強化ワインが生まれ、17世紀にポルト&アルト・ドウロ産の酒精強化ワインが大ヒットします。
なお、ポートワインは、アルト・ドウロで生産されたぶどうのみを用い、ポルトと対岸のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアで加工・熟成・生産された酒精強化ワインのみを「ポートワイン」と定義されています
- 名称 / 英語名
- アルト・ドウロ・ワイン生産地域 / Alto Douro Wine Region
- 種別
- 文化遺産
- 登録基準
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(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
(5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
登録基準とは - 登録年
- 2000年
- 公式オフィシャル・サイト
- ユネスコ / UNESCO 公式サイト内の Alto Douro Wine Region ページ